2025年7月、コロンビアのEC市場の構図は激しく揺れ動いた。
中国のECプラットフォームTemuは、1日平均10万個の荷物、月間220万件という驚異的なスピードで、AmazonやAliExpressなどの国際大手を追い抜き、同国ECアクセス数で2位に躍り出た。ラテンアメリカの地元大手Mercado Libre(メルカドリブレ)に次ぐ規模である。

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この数字の裏には、年間2,640万個以上の荷物がTemuからコロンビアの家庭へと流れている事実がある。プラットフォームの月間アクセス数が2,480万回を突破した際、カリブ海沿岸のラ・グアヒラ、ボリバル、サン・アンドレスなどの遠隔地が意外にも成長エンジンとなり、これら地域のユーザー検索活動が指数関数的に増加した。
「中間業者を排除することこそがTemuの価格の切り札だ」と、マリア・フェルナンダ・キニョネスは分析する。同プラットフォームは高頻度の割引、ゲーム機能、工場直結モデルを活用し、商品流通コストを従来のチャネルの30%以下にまで圧縮した。

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低価格の電撃戦、コロンビアECの構図を塗り替える
2024年3月にコロンビア市場へ正式参入したTemuは、わずか16ヶ月で電撃的な拡張を遂げた。
最新データによると、市場シェアはすでに18.7%に急上昇し、コロンビア第3位のECプラットフォームとなった。メルカドリブレとFalabellaに次ぐ規模である。
Temuの台頭は既存の市場構造に直接的な衝撃を与えた。かつての地元覇者ÉxitoとLinioは逆転され、Amazonは月間2,240万アクセスで3位に後退した。

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秘訣は何か?Temuのアプリを開くと、画面いっぱいの割引商品が消費者の視覚神経を刺激する。3Cアクセサリーや日用品がプラットフォームの人気商品となり、「友達を招待して無料商品を獲得」というソーシャル拡散の仕組みで、ユーザー数は半年で400%以上増加した。
Temuのアルゴリズムシステムは、消費者の閲覧履歴や購買嗜好をリアルタイムで分析し、パーソナライズされたクーポンやフラッシュセールを正確にプッシュする。この「一人ひとりに合わせた」マーケティング戦略が購買転換率を大幅に向上させた。

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過小評価されていた市場、コロンビアECの潜在力が爆発
コロンビア市場は長年、世界のEC大手に過小評価されてきたが、驚くべき潜在力を秘めている。人口5,000万超のこの国では、35歳以下の若年層が半数以上を占め、インターネット普及率は70%を超え、EC発展の肥沃な土壌となっている。510
政府の政策支援が重要な推進力となっている。税関手続きの簡素化、税率の引き下げ、ラテンアメリカ初のEC省設立などの施策が市場成長を加速させた。2025年第1四半期、同国EC売上総額は27.3兆ペソ(約66億ドル)に達し、前年同期比16.4%増、GDPを大きく上回る成長率となった。
Worldpay「2025年グローバルペイメントレポート」は、コロンビアEC市場の明確な成長ロードマップを描いている。わずか6年間(2024-2030)で、市場総額は160億ドルから350億ドルへと急増し、110%以上の成長を遂げる見込みで、期間中の年平均複合成長率(CAGR)は13%の高水準で推移する。。
売れ筋カテゴリーには鮮明な地域性がある。若年層はコスパの高い衣料・靴を追い求め、不動産の活況が家具需要を牽引、中古車保有率の高さが自動車・バイク部品の人気を後押しし、Rappiの「30分配達」サービスが生鮮食品のネット購入を新たな習慣にしている。

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最後に:低価格神話はいつまで続くのか?
Temuがコロンビアで18.7%の市場シェアを切り開いた時、この「中間排除」の威力は新興市場で持続的に発揮されている。
TEMUがボゴタで東南アジア型保税倉庫モデルを複製し、メキシコでは米墨加協定を活用して関税回避を図るなど、グローバルローカライズ戦略は本格化している。
越境ECの攻防戦はまだ始まったばかりだ。今後は中国のサプライチェーン効率を理解し、現地の倉庫物流や決済エコシステムに根を張る長期主義者が勝者となるだろう。Temuのコロンビア戦は証明した:低価格は鋭い槍だが、ローカライズ運営こそが成果を守る盾である。
市場は常にイノベーターに報いるが、市場を畏れる者だけが最後に笑うことができる。
